(2016年)10月3日から7日まで、アメリカのラスベガス、シリコンバレーに視察に行ってきた。
自動運転車等次世代のトラックが一同に集まる全米トラックショーが開催されたラスベガス。そして、世界を変える=イノベーション(:革新)を世に発し、世界を席巻する企業・起業家が多く集まるアメリカのシリコンバレー(サンフランシスコ)。2大都市に赴き、次世代トラックに触れることで今後のトラックのあり方を考え、そしてシリコンバレーの起業家の思想や哲学・経営手法を学び、我が業界と会社の将来ビジョンを確立するのが目的だ。
シリコンバレーは、サンフランシスコに程近い周辺地域の名称。特定の場所の公的な地名ではないが、かつてはインテルなどの半導体メーカーがひしめき(半導体の原料がシリコン)、今では世界を席巻するIT企業が集積し一大経済圏を構築する場所である。
シリコンバレーには、Disrupt(=ディスラプト:破壊)という概念がある。非連続的(過去の延長線上でない斬新な)イノベーションにより、既存の試乗や社会常識を覆すことを意味する。スマホの登場による既存携帯電話やデジカメの駆逐、ウーバーによるタクシー業界の大打撃が良い事例だろう。今後すぐに予想されるのは電気自動車登場による燃焼系自動車の衰退だ。自動運転車の開発も急ピッチに進み、世界の有り様を変えようとしている。
トラック業界に携わる若手経営者有志のメンバー7名での視察となった。「七人の侍」による「黒船の製造工場視察」といったところか。
まず、全米トラックショーが開催されているラスベガスに上陸した。最初に衝撃を受けたのがウーバーだ。ラスベガスには昨年11月に来ており、1年を経ていない。しかし前回の研修視察は東ト協のオフィシャル事業であり、事業に係る費用の補助があったため、その全般は旅行会社による企画、そして移動手段もチャーターしたバスであった。自由行動時もウーバーではなくタクシーを利用していた。
ウーバーは、スマホアプリを活用したクルマのライドシェア(相乗り)サービスだ。日本ではタクシー業界の猛反発を受け、現在ではハイヤーのみ認められている。
その特徴はこうだ。一般のドライバーと乗車を希望する利用者をインターネットで結び、ドライバーが料金をとって利用者を送迎するシステム。利用者がウーバーのアプリで現在地と行き先をインプットすると、料金とドライバー到着までの待ち時間が返ってくる。アプリ登録時にクレジットカード情報を登録するため、すべてカード決済。ドライバーは利用者の目的地を認識しているので、利用者はドライバーに目的地を伝えることも現金を渡すことも必要ない。早い話一切の会話がなくても目的地まで届けてくれるのだ。
そして、もう一つの特徴、それは一般のドライバーが副業としてウーバーを小遣い稼ぎできる点だ。専業にしている人もいるが、たとえば、自家用車での会社出勤時に目的地の方向が同じ利用者を一緒に乗せる、また仕事が休みの日にウーバーに専念するなど、ドライバーに大きなメリットがある。まさにシェアリングエコノミーの代表格である。
当然利用者からすれば、安全性・快適性を追求する訳だが、その点は「相互評価制度」というものがある。利用者はドライバーを5つ星で評価し、降車後にアプリ上でインプットする。平均4.6星未満になると、運営会社である「ウーバー・テクノロジーズ」よりドライバーの権利が剥奪されるらしい。また利用者に対するドライバーの評価もある。どういったものなのか確認出来なかったが、おそらく同じ類のものだろう。
ちなみに私は、一度誤った目的地を入力し、ドライバーに迷惑をかけた。おそらく私への評価は低いのだろう。ただ、帰国して東京で早速ウーバーを利用した。上述の通り、日本では規制があってハイヤーのみ。東京では問題なく目的地までたどり着いた。自分の評価が気になるところだ・・・
(Uの字を左向きにしているのが特徴。スマホアプリもこのマークとなっている。)