新元号が決まった。
天皇崩御に伴う「平成」の公表の時とは違い、「令和」のお披露目は桜満開の東京というタイミングも重なり、晴れ晴れしたものであった。
この1ヶ月、いや今年に入ってからだろうか。4月1日を待ちわびたというわけではないが、新たな時代へ向けてそれぞれが思いを馳せ、この日を迎えるに自然と高揚を感じる日本全体の雰囲気があった。政治や経済、会社経営を考えると激動の新年度がスタートした訳だが、そんな現実を和(なご)ます束の間の安堵感もあった。
さてしかし、この1ヵ月の中で個人的に最も高揚し、安堵したのは新元号のお披露目ではない。久々に涙し、童心に戻った。イチローの引退だ。
管理職研修会でもイチローのことを折に触れて教材とさせてもらった。「ルーティーン」と周囲は呼んだ、一日一日の準備を怠らずに徹すること。そしてその積み重ねがいつかとてつもない成果を生むということ。「凡時徹底」を体現し、最高の成果を生んだアスリートを、物流現場を担う我々の仕事に照らし合わせた。
以下、引退会見の一部を抜粋。
「他人よりも頑張ったということは言えないですけど、自分なりに頑張ってきた。これを重ねてきて、重ねることでしか後悔を生まないということはできないのではないかと思います。」
「自分が熱中できるもの、夢中になれるものを見つければそれに向かってエネルギーを注げるので、そういうものを早く見つけてほしいと思います。それが見つかれば、自分の前に立ちはだかる壁にも、壁に向かっていくことができると思うんです。それが見つけられないと、壁が出てくるとあきらめてしまうことがあると思うので。(子ども達へのメッセージ)」
プロ3年目での年間最多安打の鮮烈デビュー。そして、日米で数々の記録と記憶、WBC決勝で死闘を制した決勝打。日米通算28年間の現役生活は、ほぼ「平成」の時代と重なる。(鮮烈デビューしたプロ3年目は、自分は高校生。)
「平成」の時代を駆け抜け、その終わりとともにユニホームを脱ぐ。
常に、その時その時の「自分の壁」を見つけ、それを確実に乗り越えてきたイチロー。「令和」の時代も、その生き方は変わらない。