3年振りの規制なしGWということで、連日ニュースでの高速道路の渋滞情報や行楽地の賑わいを目にすると、かつての日常が少しずつ戻ってきたようだ。感染者数は決して低い水準ではないものの、コロナとの闘い方の知見を積んだ我々は、3回目ワクチンや治療薬の普及で一気に勝利宣言といきたいところだ。あとはウィズコロナ対策をどう考えるか。正直夏のマスクはきついし、大規模パーティーの解禁も待ち遠しい。
コロナとの闘いは先が見えてきたようだが、気になるのはウクライナ情勢。一向に先が見えない。なぜロシアはウクライナを主権国家と認めず「ネオナチ」と決めつけて他国への侵攻を正当化するのか。どこに正義があるのか。国際社会から孤立することが明白にも関わらず、なぜ時代を19世紀の頃に逆戻りするような行動をとるのか。
生涯、我々にとって理解するに程遠いものだろうが、ロシアやウクライナの歴史を学ぶことで今回の侵攻における(ロシアにとっての都合の良い)正当性の背景を垣間見ることができるのではと思うようになった。元来歴史好きな性分から、GW期間中にロシアの歴史の一部を勉強することとし、楽天ブックスで関連図書数冊を注文、さらにYou Tubeでの歴史講座を受けることとした。
学びを進めると、ロシアという国は我々日本国とは全く違う背景があり、比較もできなければ価値観も相容れない。直近200年の歴史をざっと。
1. 広大な国土であり小麦など穀物が主要取扱品であるロシアは、その海外への輸出を通じて経済大国を目指すため、貿易拠点として不凍港(凍らない港)を求めて黒海やバルカン半島への南下政策や東方進出を図るも、西側諸国の英仏独や日本に阻まれて失敗した19世紀半ばから20世紀初頭。
2. 19世紀末から20世紀初頭にかけて、本格的な産業革命を迎えて富が蓄積された一方で、労働者や農民は困窮し、社会の不満はやがて革命という形で既存体制を転覆(約300年続いたロマノフ王朝滅亡)、その後数年の時を経て世界で初めて社会主義国家(ソ連邦)が誕生。
3. 第二次大戦で戦勝国となって大国にのし上がり、その後はアメリカとの冷戦を展開。東欧諸国の社会主義体制の維持に尽力。
4. 20世紀末、社会主義体制崩壊によりソ連邦解体。ウクライナを含めたロシア周辺国家が独立。これらの国家がアメリカを中心とした西側諸国、軍事同盟NATOに近づいて包囲網を築き、ロシアに脅威を与えている現在。
ロシアの歴史観を振り返ると、ロシアの暴挙は、西側諸国への積年の恨み恐れからくる対抗心や、「国家としてのアイデンティティの体現」という価値観なのか。価値観の多様化と最近よく耳にするが、21世紀に入った現在、全世界共通の揺るぎない価値観、国家として個人としても共有したい価値観=「戦争反対」。これは絶対的なものにはならないだろうか。
隣国をロシア、北朝鮮、中国という軍事大国に囲まれ、一方で軍事力を持たずにアメリカに依存している日本国の一国民として、切に願う。