日本で唯一の砂漠がある都道府県はどこか。
最近知った。ここで問題にするということは意外性があるから。正確には、
国土地理院が発行する地図において「砂漠」の明記がある唯一の都道府県は?
ちなみに、正解は鳥取県ではない。砂漠と砂丘の違いについてはググれば書いてあるので詳細は省略。
※参考
正解は、東京都である。
先日、初めて伊豆大島に行った。言わずと知れた火山島であり、昭和末期(1986年)の噴火は記憶に新しい(といっても40年近く前だが)。もともと3つの火山が噴火を続け一つの火山島となり、大量の岩石や土砂が島を覆うように流れ、そして山頂部が陥没しカルデラを形成。さらに約250年前の噴火でカルデラの中に新たな山ができ、これが有名な三原山となった。カルデラ、つまり外輪の中にもう一つ山ができ、その頂上には噴火口があるという二重構造である。三原山は、噴火を繰り返して時に災害をもたらす一方、平時は島民の暮らしに惠みを与え、噴き上がるマグマや赤く染まった空を「御神火(ごじんか)」と呼んで敬い慕ってきたという。地元で有名な焼酎にもこの名前を用いてブランド化している。
そう、東京都といっても砂漠は伊豆大島にある。地図上での明記は「裏砂漠」。ただし厳密には砂漠の条件には満たしていないようだ。「スコリア」と呼ばれる黒い小石や砂利の形をした火山岩が大地を覆っている。歩くとザクザクと音がする。
地図上には、「裏砂漠」の明記しかないが、今回の旅では「表砂漠」というところに行った。三原山登山の過程で、表砂漠経由のルートを選んだためだ。
伊豆大島は、中央に三原山が位置し、山の裾に街が点在している。西側にある港町「元町」がもっとも栄えており、反対の東側は住む人は少ない。そのため、西側を表、東側を裏と言うそうだ。山裾にある砂漠は、裏砂漠の方が広く知名度が高い。裏砂漠は様々なロケやミュージックプロモーションビデオの撮影にも使われる場所だ。
登山当日は、海岸部の街は晴れていたが三原山は霧に覆われていた。少々不安であったが、山自体は低山であり、せっかくの機会ということで登山を決行。そしてその結果、表砂漠で遭難しかけた。濃い霧と強風が吹きこむ。視界不良。周りに人は皆無。ただスマートフォンのGPSが機能してくれていたため、方向に目途が立てられ、なんとか砂漠を脱出。1時間さまよった。
表砂漠。一寸先は見えず。
その後正規ルートに戻り三原山山頂へ向かう。火山口のお鉢廻り入口の三原神社で参拝し、再スタートを切ろうとしたその瞬間、後ろを振り返るとあの濃い霧が一気に晴れていた。下界を見渡せた。遭難しかけた表砂漠もはっきり見えた。
三原神社の鳥居。1986年の大噴火時も溶岩流はなぜか神殿を
避けて流れたため無傷だったようだ。
神殿に参拝後、振り返ると霧が晴れていた。
三原山火口。圧巻の光景だった(写真では伝わりにくいが…)。
伊豆大島は東京都。コンビニは一軒もない。しかしGPSは砂漠でも機能したし、テレビを付ければ都心部とまったく同じ番組が映る。そして走っているクルマは「品川」ナンバー。
竹芝桟橋からジェット船で1時間40分程で着く離島は、島全体が大自然のジオパークでありながら、首都東京の一部として確実にその存在感を示していた。