all for safety

社長ブログ

2024.11.08

京葉港港湾運送事業協同組合2024年台湾基隆港視察報告

期間 2024年10月23日(水)~26日(土)

〈台湾基本情報〉
国名 台湾
首都 台北
面積 約36,000km²(九州よりやや小さい程度)
人口 約2,342万人
民族 漢民族(総人口の98%)
言語 中国語 台湾語 客家語等
宗教 仏教 道教 キリスト教
時差 ▲(マイナス)1時間
通貨 台湾元(ニュー台湾ドル)

◆はじめに
京葉港港湾運送事業協同組合は、当社潮見営業所(船橋市)が所属する京葉港(船橋中央ふ頭等)港湾運送事業者の組合組織である。昨年創立50周年を迎え、周年記念行事の一環として海外視察旅行を企画、今回の参加となった。

◆1日目
台湾松山空港に到着後、バスで市内に移動。早速セブンイレブンやファミリーマートが目に入ってきた。国面積に対するコンビニ数の割合では世界一高い台湾。そのほとんどがセブンイレブンとファミリーマートのようだ。


空港を降り、バス移動後早速目に入ったセブンイレブンと松屋。

・行天宮
三國志に出てくる蜀の武将、関羽将軍を祭った寺院。商売の神として祭られており、地元の敬虔な信者が神の前でひざまづき、参拝する姿が印象的。ちなみに賽銭箱はない。周辺の地下道には占い店が並んでおり、日本人観光客の姿もあった。


敬虔な信者が膝をつき祈りをささげる。

・中正紀念堂
蒋介石の顕彰施設。中正とは、蒋介石のことである本名は蒋中正。中華民国初代総統、国民党の指導者である。日本留学時、中国人ということを隠すため、「石岡雄介」と名乗り、その文字の一部をとって日本では「介石」の名で広まった。敷地面積は東京ドーム5個分の広大な敷地の中に、本堂や回廊、広場があり、無料にて開放されている。圧倒されたのは、蒋介石の座像がある紀念本堂。国民党の象徴である太陽のマークがある国旗(赤字は「台地」を意味する)とともに鎮座する姿は威厳に満ちていた。ちなみに現在の国民党は野党になっており、蒋介石の人気も落ちていることから、この施設の必要性の有無が国内で議論されているようだ。


蒋介石の銅像。台湾の国旗を両脇に掲げて鎮座。


台湾での3大観光名所である、中正紀念堂の本堂。

・101展望台
台湾の観光名所として名を馳せる「101展望台」。高さ509メートルを誇るビル形状の建物は、UAEのバイにある「ブルジュ・ハリファ」(828メートル)に次ぐ世界第2位の高さだ。ちなみに日本で最も高いビルは、昨年11月に開業した「麻布台ヒルズ森JPタワー」であり330メートル。2004年に完成したこの建物は、当時は世界一高いビルであり、施工は日系企業である熊谷組が携わった。また、展望台に到着するまでの時間が極めて短いエレベーターでも有名で、東芝製とのこと。低層部分は商業施設があり、ビルのテナントはほぼオフィスで、Googleの台湾支社や中央証券取引所などが入居している。


当日は雨で視界不良。無念。

◆2日目
・基隆港視察
台湾東北部、台北の海の玄関に位置する基隆(キューリュー)港。旅客・貨物の主要港である。台湾NO.1規模を誇るのは南部の高雄(たかお)。国の歴史の経緯と地政学的リスクもあり、台湾は西部に主要都市が多く、港も多い。東側の開港は、20世紀に入り日本の影響下に入った後である。日清戦争後の1895年、下関条約で日本に割譲された台湾は、太平洋戦争の終戦である1945年まで日本の領土であった。台湾の東にある港は、日本統治下に開港されたところが多い。先日の地震で大きな被害を受けた花蓮港もその一つ(大理石の産地)。現地法人(TIPC=TAIWAN INTERNATIONAL PORTS CORP、民間企業)の社長と当組合理事長の挨拶を双方に行い、基隆港の現状と課題の話を伺った。日本の港湾における課題(人手不足、渋滞等)の他、年の2/3は雨が降るということで(当日も大雨)、独自の悩みを抱えているようだ。ちなみにTIPGは3つの港の管理・運営を行っており、今回視察した基隆港は一部貨物も取り扱うが、主な業務は旅客、とくに海外からの乗客を受け入れるため出入国管理業務が主であるということだった。


現地法人の幹部と記念撮影。

・九分観光
千と千尋の神隠しの舞台になったと言われる九分を訪れた。が大雨と強風のため、名物の提灯明かりを見る間もなく早々に撤退した(ひととおり歩き回った)。日本人観光客が目立った。

・その他
移動のバス内での添乗員さんの話で面白かったのが、台湾の高速道路事情の話。台湾は国土が狭いため、人口密度の高い国であり、渋滞が多いのが特徴でもある。その解消は国としても重要課題の一つのようだ。台湾の高速道路は有料であるが料金所はない(ETCゲートもない)。高速道路のいたるところにカメラとセンサーが装着されており、車両のナンバープレートを感知して、後日請求(もしくは自動引き落とし)となる。自動引き落とし手続きをしていない人は、(無数の)コンビニが支払い窓口となる。未払いのないよう管理も徹底されているということ。料金所による一時停止(ETCゲートによる徐行)をなくし、少しでも渋滞解消を図るこの取り組みは、台湾より国土の広い日本では、すぐに全国一斉に対応するには難しいが、特区などを設けて実証実験を行う価値があるのではと感じた。トラックドライバーの労働時間軽減の改善策の一助にもなろう。

◆3日目
・日月譚(ニチゲツタン)
新幹線にて中東部都市の台中に赴く。新幹線というだけに当然日本製。ひと昔前日本で活躍していたタイプであった。

余談だが、台湾では改札で入る際、自動改札機に切符を入れるとほぼ同じところから出てくる。よって取り忘れが多いとのこと。また出る際は日本と違い、入る時と同じように出てくる(自動的に回収しない)。使用済みの切符は不要なので、ポイ捨てする日本人が多いらしい。ちゃんと処理するよう添乗員から促された。

台湾は平地が少ない。島西部の沿岸部が平地で、あとは山間部で占められている。日月譚は島の中央部に位置する山間部にある人工湖。その周辺には仏閣や寺院が立ち並ぶ。その中で今回印象に残った寺院は玄奘寺。玄奘とは中国の唐の時代の僧で、陸路でインドに向かい、仏教の経典を翻訳しその普及に務めた高僧である。一般には三蔵法師の名で親しまれている。この玄奘の名を冠したこの寺院は、圧倒する規模の大きいものではないが、高地から湖を悠々と眺めつつも、ひっそりと上品なただずまいが印象的であった。


玄奘寺。静かなただずまいが印象的だった。

日月譚の略称は明譚(めいたん)。日と月を合体させて明となるためだ。湖の形が、湖の北側が太陽、南側が月の形をしていることから、その名付けられた。蒋介石の別荘地としても知られている。この人工湖は水力発電所としての役割を負っている。地形(落差)を利用する水力は、国全体の15%の電力を生み出す。またこの辺りには、原住民族サオ族が多く住んでおり、入れ墨をしている人が多いらしい。

日本に例えるなら箱根の芦ノ湖に似た雰囲気のある場所であった(芦ノ湖は人工湖ではないが)。


日月譚。雰囲気が箱根の芦ノ湖に似ていた。

◆4日目
・移動(バス内にて)
台湾はMRTと呼ばれる新交通システムが発達して、旅行者にもよく活用されている。交通費は比較的安い(タクシーの初乗り80元=400円ほど)。学卒初任給2.5万元(=12.5万円)ということだが食料も安く生活するには住みいいとのこと。一方で不動産価格はかなり高騰しているようだ。

・故宮博物院
最終日の観光は、世界三大博物館の一つ(イギリスの大英博物館とアメリカのスミソニアン博物館)である故宮博物院(ルーブルやメトロポリタンは美術館)。世界遺産に指定されている。故宮という名の通り、かつては宮殿にあった宝物などを展示している。清王朝時、皇帝の住まいであった北京の紫禁城にあったこれらの骨董品等の一部を、蒋介石が台湾に逃れた際に持ち帰ったと言われている。ただし紫禁城にあったのものは300万に及ぶ数のもので、その内50万を台湾に移した。後に1960年代の文化大革命時、これらのものの大部分が破壊され、現在の当博物館の展示物は20万程となっている。

最も有名なものが「翠玉白菜(すいぎょくはくさい)」と呼ばれる白菜の石。これ、よく見ると白菜の上にキリギリスとイナゴが彫られている。清代末期の光緒帝に嫁いだ妃の嫁入り道具の一つといわれている。清代末期は欧米列強や日本の脅威に怯え、光緒帝の後を継いだ宣統帝(溥儀)を最後に清国は滅亡。中華民国が誕生した。国民党(中華民国)はその後共産党に敗れ、中国本土は共産党一党独裁の中華人民共和国、そして国民党は台湾に逃れたが、この白菜の石は清国を滅ぼして誕生した中華民国、つまり台湾の象徴とする陰謀説も存在している(イナゴやキリギリスは多産の象徴だが、一方で白菜を食べつくしてしまい、自らの食するもの失い、結果共に滅びるという説)。

故宮博物館全てを見学するには1日以上かかるであろう。わずか1時間30分程の見学時間であったが、中国の歴史の一コマを知ることができ、有意義であった。


翠玉白菜。よくよく見ると、イナゴとキリギリスが見える。

◆最後に
4日間という短い滞在であったが、台湾北部の有名な観光名所の訪問、そして基隆港視察と大変充実した旅であった。宿泊ホテルも一級ホテルで、早朝早起きしてホテル内のジムで汗を流し、大浴場に浸かることもできた。食事も最高で毎回のように伊勢海老やアワビなどの高級食材を食することができた。ほとんどの食事会場が円卓、日本の中華は一つの料理(大皿)が出て皆でシェアし、食べ終わったら次の料理が出てくるイメージだが、こちらでは料理が出来次第次々と円卓テーブルに持ってくるので、テーブルの上にスペースが全くなくなる。こちらも慌てて食べなきゃならないので、ゆっくりと料理を楽しむ余裕はなかった(たまたまかもしれないが)。また台湾ビールもたくさん飲んだが、やはり日本のビールの方が断然おいしかった。

2017年にベトナムに行って以来7年ぶりの海外。4日間ではあったが、貴重な時間を体験できた。関係者に感謝して、報告を終えます。


JTB現地添乗員の楚さんと。説明も分かりやすく、親しみやすい添乗員でした。

電話での
エントリー
0336433701
受付時間 9:00~18:00(土・日・祝祭日休み)