コロナウィルスとの戦いが長期化してきた。初めて発症が確認されて2年が経とうとしている。ウィルスは生き残りをかけて変異を繰り返す。第5波の主因であるインド型(デルタ型)は若い世代にもお構いなく猛威を振るう。子供園児からの家族への家庭内感染という流れも多く報告されている。20歳未満の陽性者が、この1か月で約10倍に確認された。
重症化しやすい高齢者にワクチン接種が普及した今、優先すべきは若い世代への接種普及。東京都は渋谷で予約不要な若者向け接種会場を設けたほか、政府は自衛隊の運営する東京と大阪の大規模接種センターで若い世代約3万人分のワクチンを用意した。
一方、モデルナ製ワクチンに異物が混入したというニュースが入った。因果関係は定かではないが、接種後に亡くなった若者もいるという。事実として報道各社は伝えている。情報が簡単に入り、事実と異なるデマ情報が拡散する中、情報に敏感な若者がこの事実によってネガティブな心理になるのは否定できない。たとえ異物との因果関係がなくても。たとえその確率が天文学的なものであったとしても。接種に二の足を踏み、普及が進まない一因になるのも無理はない。
「一事が万事」。日本由来の故事。この故事がすべての原理原則になるとは考えないものの、一定の理はある。この故事にかけてよく引用される例として、
一つのペットボトルに異物が混入したら、その製品はすべて店頭から回収される
ブランド棄損の原理。ブランドの知名度が高ければ高いほど、棄損した時の影響度は大きい。今回のモデルナ製ワクチンは、その同時期に同じ生産ラインで作られたロット番号のものの使用を中止された。
「一事が万事」の原則を会社に当てはめれば、99%が「安全」でも1%が「不安全」でれば、それは「不安全」な会社ということ。
「安全」な会社にするには、「不安全」な1%に対処することだけでは解決しない。1%は顕在化したものであり氷山の一角。そして1%は時が経つにつれてウィルスのように置き換わっていく。これをやれば正解、という特効薬はない。
人間は間違える動物。機械はいずれ故障する。ルールは万能ではない。つまり「100%安全な仕事はない」「リスクはゼロにならない」。しかし100%安全に限りなく近づく絶え間ない努力をしなければ、会社は世の中には認められない。努力を放棄したらウィルスが蔓延し死滅する。
「100%安全」に近づく絶えることのない長期戦に逃げずに立ち向かうという姿勢、安全文化が根付く大前提である。
社内運行管理者研修(WEB)。点呼の重要性を再認識する。(令和3年8月31日)