日本経済新聞の日曜日の朝刊に、「Challenge CROSSWORD」というコーナーがある。めちゃくちゃ難しい。一発で解けたことはない。自らの知識のなさとともに、知らない世界がこんなにもあるのかという気づきを与えてくれる(しかしあまりの自分の無知さに凹むことが本当に多い。)
クロスワードパズルは、「カギ」と呼ばれる文章によるヒントを元に、タテヨコに交差したマスに言葉を当てはめてすべての白マスを埋めるパズルのこと(ウィキペディアより)。知識がものを言う一方で、連想して埋めていくという想像力や関連付ける力があれば、明確な知識がなくても解ける場合がある。「ひらめき」と呼ばれるもので、脳科学者の茂木健一郎氏はこのひらめきのことを「アハ!体験」と名付けた。この体験をすると、脳が活性化して世界が違った見え方になり、同時に心が喜びを感じる、ひらめきは脳にとっても心にとってもよい体験だという。日経新聞のはかなりの難易度だが、スマホのアプリでクロスワードの脳トレができる。難易度別やカテゴリー別など、自分がどのくらいの知識があるか試したい、そして「アハ!体験」がしたい方は、アプリをインストールしてはいかがだろう。
さて、日本の組織は「タテ割り」だと否定的に言われてきた。高度経済成長期の成功モデルを変革できないまま、今を迎えている行政・会社・組織に使われることが多い。
抵抗勢力は既得権益にしがみつき、視野が狭く組織のブラックボックス化を招く。変革に及び腰でバイアスが強く、環境変化に対応できない。今のような激変する環境下においては「タテ割り打破」が叫ばれる。菅前総理肝入りの「デジタル庁」は、まさにこのタテ割り打破の象徴組織。ちなみに企業の部門横断組織のことをよく「ヨコ串し組織」という。壁を突き破るイメージで的を射る表現だ。
行政が規制当局として君臨する○○業界という表現こそ、このタテ割り思想の最たるもの(ちなみに私たちの所属する運送業界・倉庫業界・港運業界の規制当局は国土交通省)。しかし時代の流れの中で社会の価値観の変化やデジタル化などの技術革新で、業界とは何なのか、その定義の見直しが始まった業界がある。
例えば自動車業界が今100年に一度の大変革と言われているのは、異業種の参入が相次いで既存の業界秩序が破壊され、「CASE」と呼ばれる次世代トレンド・価値観が社会に普及し、生き残りのため変革への挑戦を余儀なくされたからだ。自動車各社は、クルマを作る製造業から移動サービスを提供するサービス業に転換を図っている。
企業には、既存事業があって今がある。だから既存事業を全否定することはない。それを深化させていく姿勢も必要だと思う。ただそれだけではこれからは生きていけない。時代の変化に対応し、新たな社会が求めるニーズに応えらえる新事業を模索していくことも併せて求められる。既存事業(タテ軸)の「深化」と、新規事業(ヨコ軸)の「模索」というイメージか。
このタテ軸とヨコ軸がクルマの両輪のごとく機能することが、企業の永続性の推進力となる。クロスワードを解きながら(解けていないが)、ふとそんなことを思った。