韓国発の世界的な人気アイドルグループの「BTS」が活動を休止すると発表した。熱烈なファンということではないが、爆発的なヒット曲となった「Dynamite」や、国連本部でのプロモーション動画が話題となった「Permission to Dance」 などは、その圧倒的なダンスと声量に魅了される。7人組グループではあるが1人1人の表現力もまた魅力的で、個性が十分に伝わってくる。
BTSがまだ「防弾少年団」と名乗っていた頃、実は大阪の「なんば花月」にゲストに呼ばれたことがある(今でもYOUTUBEで確認できる)。当時もすでに活躍していたが、世界的グループになった今と比較すると表情があどけない。
彼らは、母国語の韓国語と英語の他、日本語やスペイン語など多くの言葉を使いこなす。いつ勉強しているのかと考えさせられる。時間の使い方も上手なのだろう。
その彼らが、今回苦渋の選択をした。グループ結成の頃のビジョンと方向がずれてきた、本当にやりたいことは何だったのか自問自答する時間が欲しい、といったことが理由の一つだという。
そしてもう一つ、これは周囲の憶測の域を脱していないのだが、韓国特有の国家方針が影響しているらしい。「兵役」である。
韓国では、兵役の義務がある。決められた年齢の間に約2年間の役務を行わなければならない。人気絶頂の彼らも、原則はこのルールに従わなければならないようだ。
軍を持たない日本は、日米安保の枠組みの中で防衛をアメリカに頼っている。一方で隣国の中国やロシア、北朝鮮の権威主義国家の軍事的脅威に晒されている。米韓は軍事的に連携しており、日本の防衛にも一役買っている。韓国の兵役義務は、日本にとっても意義のあることなのだ。
例えば核がなくならないのは、核戦争を抑止するために核を持たなければならない、という論理だ。核を使うことは核戦争を引き起こすこと、それは自国を滅ぼすことに繋がることを、核保有国は理解している。核の存在をちらつかせるのは、相手に核を使わせない効果があるということだ。
韓国では大統領が変わり、親日派のユン・ソンニョル氏が就任した。日本国民として、両国の関係改善が進んでいくことだろう、そう信じたい。そして戦争が現実的となっている今だが、どの国も軍隊を持たない、兵役義務のない国となり、若者の可能性を最大限発揮できる未来を夢みたい。BTSメンバーもそう思っているに違いない。