7月初め。梅雨明けはまだのようだが、すでに夏到来。毎日気温湿度が高く、セミも鳴き始めそうな勢いだ。明らかに昔の気候と違う。
ところで、今でこそ読書が趣味だが、子供の頃、読書はあまり好きではなかった。本を読むくらいなら、体を動かしたい、目が悪くなりそう、そもそも集中力が続かない。理由を挙げればきりがなかった。
そんな少年時代、唯一と言っていいほど興味を持った本のカテゴリーは推理小説だ。読破した本の中の一つに、江戸川乱歩の怪人二十面相があったのを覚えている。学校で流行っていたのもあり、自分も波に乗り遅れまいと頑張ったのだろうと今になって思う。
そんな子供であったが、社会人になりたての頃にたまたま推理小説が好きな母親が読んでいた本を借りて読み、あまりの面白さに興奮し、以降読書が一つの趣味となった。ちなみに母親から借りた本は、エラリー・クィーンの代表作、「Xの悲劇」「Yの悲劇」「Zの悲劇」。推理小説の名作中の名作だ。
恥ずかしながら、若い頃に読むべしと言われる筆頭の、夏目漱石の名作「こころ」にしても、これを読んだのは社会人になってから。高校の教科書の教材になる本ですら、若いころは無縁だった。結城に入り、仙台出張の帰り、仙台駅の本屋でなんとなく買って、帰りの新幹線で全て読んだのを覚えている。
最近はもっぱらビジネス本が多くなった。自らの啓蒙のために読むのだが、本を読むたびに自分の無知さを知る。若い頃もっと読んでおけばと今さらながらに後悔している。が、今では興味関心のある分野の内容の本は面白くて、ページがどんどん進む。スポーツや歴史、健康やビジネス本、最近では地政学に興味がありその手の本を買い漁っている。特に戦争論や戦略論などの本は、ビジネスに転用できるものが多く、歴史と組織を同時に学べるので好きだ。
ただ、実は興味関心のない分野の本こそ、自分の枠を超えた新たな世界を知ることになるし、視野を広げるとか、発想を豊かにすることに繋がる。これからの時代は、そのようなものが求められると言われる。読み始めるまでには自分を鼓舞する多少のエネルギーが必要だが。
たまには、今まで興味のなかった分野のものを手にとってみようと思う。それらの分野は、自分が好きで関心のある分野よりもはるか無限に存在するので、学びや気づきも多いだろうから。