3月の意外な寒さと天候不順で、桜の開花が遅れた。4月に入ってやっと東京も開花宣言。4月最初の週末は絶好のお花見日和となり、各地は盛り上がったようだ。
1~3月のクールで人気を博したTVドラマ「不適切にもほどがある」(TBS)。昭和と令和の時代背景、価値観のコントラストが興味深かったが、それを象徴するかのように、感染症5類移行後初めての今年のお花見事情をマスコミが取り上げていた。
会社で大勢で行くお花見は、昔(昭和)では当然のように若手社員が場所取りのために早めに現地に向かい、先輩社員を待ち迎えるというのが常識だった。しかし現在(令和)では、むしろ先輩が場所取りをし新人や若手を迎えるというのだ。ベテラン(と思われる)社員がインタビューに答えていた。「じゃないと若い人が来ないから」。全部の会社や人がこうではないとは思うが、あるあるだなと妙に納得してしまう。
ドラマに話を戻すと、この作品の脚本は宮藤官九郎、通称「クドカン」と言われる人気脚本家。時代設定を昭和の1986年と令和の2024年とし、38年を経て変化した社会の価値観をコミカルに描写していた。この38年、平成という時代が丸っと入るが、平成でいきなり価値観が0から1みたいにデジタルに変わったわけではなく、長い時を経てグラデーションのごとく徐々に変化していったわけだ。この時代を生きてきた自分にとっても、本作品はただ面白かっただけでなく感慨深く視ることができた。本作の最終回にもあったが、同じ38年後から今を振り返れば、おそらくまた時代は移ろい、価値観が変わり、常識が非常識となり、非常識が常識となる。
昨年(2023年)日本一を達成した阪神。1985年以来38年の時を経ての日本一。時代や価値観は変化したが、甲子園での盛り上がりは変わっていなかった。これも感慨深い。